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中古車広告の支払総額表示|検索広告・バナー・LPで価格を出すときの決めごと

2023年10月から、中古車の販売価格は「支払総額」で表示する決まりになりました。店頭のプライスボードとポータルサイトの掲載は直した。けれども、検索広告の広告文や、代理店が作ったバナー、数年前に作ったLP(広告専用の1枚ページ)までは見直していない。そういう店は少なくありません。

規約の対象は店頭だけではなく、広告を含むすべての価格表示です。そして広告には、店頭には無い事故の起き方があります。車は売れたのに、価格の入った広告文だけが配信され続けることです。この記事では、自動車公正取引協議会の公表内容を確認したうえで、広告の面ごとに価格をどう出し、誰がいつ直すかを決めます。法令や規約の解釈を断定するものではありません。判断に迷う表示は、協議会へ確認してください。

この記事でわかること

  • 支払総額の表示は、広告・店頭・注文書のすべての価格表示が対象。検索広告、バナー、LP、SNS広告も含まれる
  • 広告で起きやすい事故は3つ。売れた車の価格が残る、月々の支払額だけを出す、車両価格を総額より目立たせる
  • 検索広告の広告文には個別の車の価格を入れない。価格は在庫と連動して更新できるページ側に出す
  • 隣の県まで広告を配信している店は、県外登録で費用が変わることをLPと在庫ページに注記する
  • 代理店に任せていても、出ているのは自店の広告。在庫と価格の変更を伝える手順を決めておく
広告の面ごとの価格の出し方
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広告に出す価格は支払総額にそろえ、更新できない面には価格を出さない

決めることは2つです。1つ目は、広告に価格を出すなら、どの面でも支払総額で出すこと。2つ目は、在庫の動きに合わせて直せない面には、個別の車の価格を出さないことです。

中古車は1台ごとに価格が違い、売れればその価格の車は無くなります。店頭のプライスボードは車と一緒に片づきます。広告は違います。検索広告の広告文もバナーも、止めるまで配信され続けます。価格の決まりを守っているつもりの店でも、広告だけが古い価格のまま残るのはこのためです。

広告の面ごとの扱いは次のとおりです。冒頭の図と同じ内容です。

広告の面 価格の出し方 気をつけること
検索広告の広告文 個別の車の価格は入れない 売れた後も文面が残りやすい。価格を入れるなら更新の担当と頻度を決める
バナー・SNS広告 出すなら支払総額 その価格で買える車が店にあること。売れたら差し替える
LP・特集ページ 支払総額と条件の注記 月々の支払例だけを出さない。県外登録などで費用が変わることを書く
自社サイトの在庫ページ 支払総額を主役にする 車両価格を支払総額より大きく目立たせない
ポータルサイト 自社サイトと同じ支払総額 同じ車で金額が食い違うと、問い合わせの時点で不信を招く

媒体ごとの使い分けは自動車のWEB広告にまとめています。この記事は、その広告に載せる価格の扱いに絞ります。

支払総額に含めるもの、含めないものを広告の担当者にも共有する

支払総額は、車両価格に、購入するとき最低限必要な諸費用を加えた価格です。店頭で車を引き渡す場合の、消費税を含めた現金価格が基準になります。内訳は自動車公正取引協議会「中古車の販売価格の表示が『支払総額』に変わりました」で示されています。

区分 中身
車両価格に含める 展示時点で付いている装備、定期点検整備や保証を付けて売る場合のその費用、洗車や清掃など納車準備の費用
諸費用として総額に含める 自賠責保険料、自動車重量税などの税金、法定費用、リサイクル預託金相当額、検査登録と車庫証明の手続代行費用
総額に含めない 任意保険料、希望ナンバーの申請費用、管轄外登録の追加費用、納車費用など、買う人によって要るかどうかが変わる費用

同じ協議会の支払総額の表示に関するFAQでは、オークション会場からの陸送費のような仕入れの費用や、洗車やクリーニングの費用は車両価格に含めるべきもので、諸費用として別に請求することはできないとされています。

これを広告の担当者や代理店にも渡してください。広告を作る人が内訳を知らないと、「車両価格の安さ」を見出しにしたバナーが出来上がります。営業の現場では常識でも、広告の制作側には伝わっていないことが多い項目です。

違反した場合の措置として、協議会は厳重警告、社名の公表、違約金を挙げています。グーネット自動車流通の報道では、2023年10月から2024年5月に協議会へ寄せられた「表示された支払総額で購入できない」という相談は129件でした(グーネット自動車流通「支払総額表示義務化スタートから1年」2024年11月)。内容は、保証や整備、オプションを付けないと売らないという条件付きの販売と、表示に無い費用の請求の2つに分かれています。

景品表示法や媒体の審査といった、業種を問わない広告表現の考え方は、当社のコーポレートサイトの広告表現で問題になりやすい言い方で扱っています。

広告で起きやすい事故は、売れた車の価格、月々だけの表示、車両価格の強調の3つ

売れた車の価格が広告に残る

最も起きやすく、気づきにくい事故です。「N-BOX 支払総額89万円」のような広告文やバナーは、その1台が売れた時点で、表示した価格で買える車が無い広告になります。協議会は、実際には取引に応じられない車の表示をおとり広告として禁じています。フェアの目玉車については、「売約済みとなる可能性がある」と書き添えていても、当日に販売できなければおとり広告に当たるとしています(自動車公正取引協議会 広告表示に関するFAQ「フェア目玉車の取扱い」)。

媒体の側でも同じです。Google広告の不実表示のポリシーは、リンク先に無い商品や特典の提供を約束することを認めていません(Google広告ポリシー ヘルプ「不実表示」)。広告文に書いた価格の車がリンク先に無ければ、規約の面でも媒体の審査の面でも説明がつきません。

月々の支払額だけを出す

低金利や自社ローンを売りにしている店で起きます。「月々1万円台から」だけを大きく出したバナーやLPです。協議会のFAQは、割賦の支払例を併記するときは支払総額を明瞭に表示し、必要な表示事項を添えることを求めています。月々の金額は、支払総額を出したうえでの補足として扱ってください。必要な表示事項の中身はFAQで確認できます。

当社の支援経験では、買い方で差別化している店ほど審査に不安を持つ人からの問い合わせが多くなります。その層は月々の額だけを見て問い合わせ、総額を聞いて離れます。総額を先に見せたほうが、商談に進む問い合わせが残ります。

車両価格を支払総額より目立たせる

協議会のFAQは、プライスボードや広告で、内訳である車両価格を支払総額より大きく目立つように表示することはできないとしています。古いLPや在庫ページのテンプレートでは、車両本体価格が大きな赤い字、総額が小さな字という作りがそのまま残っていることがあります。ページを作った会社に依頼して、文字の大きさと並び順を入れ替えてください。

保証やメンテナンスパックなどのオプションを込みにした金額を見せたいときは、オプションを含まない支払総額を明瞭に出したうえで、参考として併記する形が示されています。オプションの購入を販売の条件にすることはできません。

検索広告の広告文には、個別の車の価格を入れない

検索広告は、広告文を一度入稿すると、止めるか書き換えるまで同じ文面が出続けます。在庫は週単位で入れ替わります。個別の車の価格を広告文に入れると、在庫の動きに広告が追いつかなくなります。

広告文で伝えるのは、価格そのものではなく、店の品ぞろえと買い方です。たとえば次のように書き分けます。

避ける書き方 置き換える書き方 理由
N-BOX 支払総額89万円 N-BOXの在庫を支払総額で掲載中 特定の1台に結びつかない。売れても文面が古くならない
車両本体39.8万円から 軽自動車を中心に展示。価格は全車支払総額で表示 車両価格だけの訴求にならない
月々9,800円で乗れる 低金利ローンの支払例をページで確認できます 月々の額だけを切り出さない

価格は、在庫と連動して更新されるページに任せます。「タント 中古車」で検索した人にはタントの在庫一覧、という対応を作っておけば、広告文に価格が無くても、開いた先で支払総額つきの在庫が並びます。キーワードと広告文の設計は中古車販売店のGoogleリスティング広告で扱っています。

どうしても価格を入れたい場合は、価格帯の在庫が常に複数ある店に限ってください。そのうえで、誰が、どの頻度で、広告文の価格と在庫を見比べるかを決めます。決められないなら入れないほうが安全です。

バナーとLPは「その価格で買える車が店にあるか」で点検する

バナーや初売りのLPでは「支払総額69.9万円から」のような見せ方がよく使われます。このとき確認するのは1点です。その金額で、追加の購入なしに買える車が、いま店にあるか。

  • 「○○万円から」の下限にあたる車が売れたら、その日のうちにバナーの数字を差し替えるか、配信を止める
  • 下限の車が「定期点検整備なし」「保証なし」なら、その条件もページに書く。整備なしで売る場合に要整備箇所があるなら、具体的に表示する
  • 目玉車を広告に載せるなら、フェア当日に販売できる状態で確保しておく
  • LPの価格は画像に焼き込まない。文字で入れておけば、店の側ですぐ直せる

最後の点は実務で効きます。価格が画像の中にあると、直すたびに制作会社への依頼になり、数日は古い価格が残ります。来店予約につなげるLPの構成は中古車向けLPの構成で扱っています。

ポータルサイトと自社サイトで、同じ車の支払総額が違っていないかも見てください。ポータルで車を見つけた人は、店が安心できるかを自社サイトで確かめます。そこで金額が食い違うと、問い合わせの前に候補から外れます。ポータルと自社集客の費用の比べ方はポータルサイト掲載費の考え方にまとめています。

隣の県まで配信している店は、県外登録の条件を注記する

支払総額は、店のある地域で登録し、店頭で納車する場合の価格です。協議会は、登録の時期や地域などについて一定の条件を付けた価格であることを表示するよう求めています。管轄外の登録にかかる追加費用や納車費用は、支払総額に含まれません。

広告の運用では、ここが配信地域の設定とつながります。県境に近い店や、商圏を広めに取って隣の県まで配信している店では、広告を見て来る人の一定数が県外登録になります。その人にとっては、広告で見た総額と見積もりの金額が変わります。

  • LPと在庫ページの価格の近くに、「支払総額は県内登録・店頭納車の場合の価格。県外登録や自宅への納車は別途費用がかかる」と書く
  • 県外からの問い合わせには、最初の返信で追加費用の目安を伝える
  • 配信地域を広げるときは、注記があるかを先に確かめる

当社では、自社サイト向けの広告はまず足元の商圏に絞ることを勧めています。商圏を絞ることは、費用対効果だけでなく、広告で見た金額と見積もりのずれを減らすことにもつながります。

代理店に任せている店は、在庫と価格を伝える手順を決める

代理店が作った広告文でも、配信されるのは自店の名前の広告です。表示の内容を確かめる役割は店の側に残ります。一方で、代理店やホームページの制作会社は、在庫が入れ替わっても自分では気づけません。

決めておくのは次の3つです。

  1. 広告に価格を出している面の一覧を代理店に出してもらう。広告文、バナー、LP、SNS広告のどこに、どの金額があるか
  2. 価格や目玉車が変わったときの連絡先と期限を決める。たとえば「売約の当日に連絡、翌営業日までに差し替えか停止」
  3. 月に1回、店の側で広告の実物を見る。自店の名前や扱っている車種で検索し、出ている広告文とリンク先の価格を見比べる

支払総額の決まりを知らない代理店もあります。業種を問わず広告を運用している会社にとっては、自動車だけの決まりだからです。打ち合わせで協議会のページを一緒に見ておくと、その後のバナーの修正が減ります。代理店との日々のやり取りはWEB広告代理店との付き合い方で、依頼先を選ぶ段階で確認することは広告代理店の選び方で扱っています。

自店の広告とLPの価格表示を第三者の目で点検したい場合は、無料相談フォームからご相談ください。

価格を広告の主役にしないほうがよい店

ここまでは価格を出す前提で書きました。ただし、広告で価格を前面に出さないほうがよい店もあります。

店の状況 勧める扱い
在庫の入力や更新が手作業で、売約の反映が遅れがち 広告文とバナーには価格を出さない。まず在庫更新の速さを整える
地域の競合と同じ品ぞろえで、価格が高め 価格の訴求では勝てない。仕入れのこだわりや保証、整備体制を訴求にする
在庫が少なく、価格帯ごとに1台から2台しかない 「○○万円から」の下限がすぐ売れて広告が古くなる。車種や業態の訴求にする
ポータルサイトで価格の比較にさらされ、粗利が削られている 自社サイト向けの広告まで価格で戦わない

当社が支援した販売店では、追いかける広告のバナーを価格の訴求から店の強みの訴求へ切り替え、ホームページのトップも「支払総額○○万円から」のようなよくある訴求から自社の強みへ見直したことが、来場の増加につながった例があります。支払総額で表示する決まりができて、価格の見せ方では店ごとの差が付きにくくなりました。価格は在庫ページで正しく見せ、広告では選ばれる理由を伝える。この分担のほうが、表示の事故も起きにくくなります。

月に1回の点検項目

点検は、担当者を決めて月に1回行います。初売りや決算のように広告を増やす時期は、開始の前日にも行ってください。

見る場所 確かめること
検索広告の広告文 個別の車の価格、車両本体だけの価格、月々だけの金額が入っていないか
バナー・SNS広告 表示した金額で買える車がいま店にあるか。車両価格が総額より目立っていないか
LP・特集ページ 支払総額の表記になっているか。条件の注記があるか。終わった企画の価格が残っていないか
自社サイトの在庫ページ 売約済みの車が残っていないか。ポータルの掲載と金額が一致しているか
Googleビジネスプロフィールの投稿 過去の入荷情報に、売れた車の価格が残っていないか
見積書 広告の支払総額と、県内登録・店頭納車の見積もりが一致するか

最後の行が最も大切です。広告の金額と見積もりが同じであること。これが確認できていれば、表示の細部で迷ったときも大きく外しません。

よくある質問

検索広告の広告文に価格を入れること自体が違反になりますか

価格を入れること自体が禁じられているわけではありません。出すなら支払総額で、その価格で買える車が実際にあることが前提です。この記事で広告文に個別の価格を入れないよう勧めているのは、在庫の動きに広告文の更新が追いつきにくいという運用上の理由です。

自動車公正取引協議会の会員でなければ関係ありませんか

関係があります。報道されている相談の件数には、会員でない事業者に関するものも含まれています。また、Google広告などの媒体のポリシーは、会員かどうかにかかわらず適用されます。表示した価格で買えない広告は、景品表示法の面でも問題になりえます。個別の判断は協議会や専門家に確認してください。

保証や整備を付けた金額を広告に出したいときはどうしますか

保証や定期点検整備を付けて売る車なら、その費用は車両価格に含めて支払総額を出します。付けるかどうかを客が選べるオプションなら、含まない支払総額を明瞭に出したうえで、参考として込みの金額を併記する形が協議会のFAQで示されています。

古いLPやバナーが残っているか分かりません

広告の管理画面で、配信中の広告とリンク先の一覧を出すのが確実です。代理店に任せているなら、価格が入っている広告とページの一覧を依頼してください。一覧がすぐに出てこない場合は、広告の管理の仕方そのものを見直す合図です。

まとめ

中古車の価格は、広告でも支払総額で表示します。広告には、車が売れた後も価格だけが残るという固有の事故があります。検索広告の広告文には個別の価格を入れず、価格は在庫と連動するページに任せる。バナーとLPは、その金額で買える車がいま店にあるかで点検する。隣の県まで配信するなら条件を注記する。代理店には、在庫と価格の変更を伝える手順を決めておく。この4つで、広告の金額と見積もりが一致する状態を保てます。

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執筆・監修:NEXTGATE LiSMOtech マーケティング事業部

自動車業界専門のデジタルマーケティング支援会社「NEXTGATE LiSMOtech株式会社」のデジタルマーケティング事業部。中古車販売店・車検店・鈑金業・リース・レンタカー・車買取など、自動車事業者のWEB集客・広告運用を支援してきた実績をもとに、現場で使えるマーケティングノウハウを発信しています。

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