中古車販売店の広告運用は自社か外注か|在庫の入れ替えと来店の記録から決める
代理店に払う手数料がもったいない。社内の誰かに覚えさせれば自分たちで回せるのではないか。反対に、自分たちで広告を出してみたが、売れた車の広告が残ったままになっていた。中古車販売店の社長や店長から、広告運用を自社でやるか外に任せるかの相談を受けると、たいていこのどちらかの状態です。
この記事では、中古車販売に固有の条件、つまり在庫の入れ替わり、来店の記録、初売りの繁忙期、売り方の違いから、広告運用のどこまでを店で持ち、どこからを外に出すかを決める方法を説明します。読み終えると、自社が今どちらに寄せるべきかと、外注した場合でも店に残る仕事が分かります。
この記事でわかること
- 広告運用の作業は「店にしかできない」「毎週続く」「経験が効く」の3つに分かれる。外注しても前の1つは店に残る
- 自社運用の可否を決めるのは、在庫の入れ替わりに合わせた作業を毎週続けられる人がいるか
- 手数料と人件費の比較は業種を問わない話。中古車販売では、売約済みの車の広告と来店の記録で差がつく


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中古車販売店の広告運用は、作業を分けて「店に残す仕事」を先に決める
自社か外注かを丸ごと選ぶ前に、広告運用の作業を分け、店にしかできない作業を店に残すことを先に決めます。中古車販売の広告は、在庫が動くたびに直す場所が出る商売です。どれだけ腕の良い代理店でも、どの車が売れて、どの車が入ってきたかは店から聞かないと分かりません。
そのため、外注すれば店の仕事が無くなるわけではありません。反対に、自社で運用すると、店にしかできない作業に加えて、毎週の調整とアカウントの設計まで店が持つことになります。判断の分かれ目は、この「毎週の調整」を続けられる人が社内にいるかです。
人件費と手数料をどう比べるか、内製が成り立つ一般的な条件は、業種を問わない話として 広告運用は内製化すべきか|代理店委託とのコスト構造と判断基準 にまとめています。この記事は、その比較に中古車販売の条件を足すと結論がどう変わるかを扱います。
広告運用の作業は、3つに分かれる
中古車販売店の広告運用で発生する作業は、店にしかできない作業、毎週続く作業、経験が効く作業の3つに分けられます。冒頭の図と同じ内容を、作業ごとに書き出します。
| 作業 | 起きる頻度 | 担う側 |
|---|---|---|
| 売約・入荷・目玉車の入れ替えの連絡 | 在庫が動くたび | 店にしかできない |
| 来店台帳に、広告を見て来た人と見に来た車を書く | 来店のたび | 店にしかできない |
| 店の強み、売り方(在庫販売か、自社ローン・リースか)の言語化 | 2〜3か月に1回の見直し | 店が決め、外が形にする |
| 検索語句の確認、不要な語句の除外、広告文の差し替え | 毎週 | 毎週時間を取れる側 |
| アカウントの設計、成果(コンバージョン)の設定 | 立ち上げ時と見直し時 | 経験のある側 |
| バナー・LPの制作、初売りなど催しの入稿 | 催しのたび | 制作の体制がある側 |
上の2行は、外注しても店から無くなりません。3行目は、店が決めなければ外は書けず、外が手伝わなければ店は広告の言葉にしにくい作業です。当社の支援経験では、たとえば「内装にこだわっている」という強みは、シートのよれや汚れ、たばこの跡が無いことのように具体的な言葉にしないと広告になりません。
自社運用を考えるときに見落とされやすいのが4行目です。広告の設定だけなら社内でもできます。しかし、キーワードの変更、不要な語句の除外、広告文の変更といった日々の調整は、経験と理屈が要るうえに、止めると少しずつ広告費が来店しない人に流れていきます。
在庫の入れ替わりが多い店ほど、毎週の作業が増える
自社運用の負担は、在庫の台数より、在庫がどれだけ入れ替わるかで決まります。売れた車の広告を止め、入ってきた車を広告に反映し、在庫に無くなった車種の検索語句を見直す作業は、入れ替わりの台数に比例して増えます。
自社の作業時間は、次の式でおおよそ見積もれます。数字はすべて仮のものです。
| 項目 | 仮の数字 | 式 |
|---|---|---|
| 月に入れ替わる在庫 | 30台 | 月の販売台数とほぼ同じ |
| 1台あたりの広告側の確認・修正 | 10分 | 広告文・バナー・着地ページに残っていないか |
| 在庫の入れ替わりに伴う作業 | 300分(5時間) | 30台 × 10分 |
| 検索語句の確認と除外 | 4時間 | 週1時間 × 4週 |
| 月の運用作業の合計 | 9時間 | 5時間 + 4時間 |
月9時間なら、1日あたりは30分ほどです。問題は時間の量より、その30分を商談、車の移動や洗車、納車準備の合間に毎日確保できるかです。中古車販売店の日常業務は、もともとパソコンの前に座る仕事ではありません。
在庫の入れ替わりへの対応が遅れると、成果が落ちるだけでは済みません。発売日より前に売買契約が成立していた中古車を、その日以降も販売できるかのように掲載していたとして、景品表示法に基づく措置命令を受けた例があります(公正取引委員会「株式会社オートアクションに対する景品表示法に基づく措置命令について」(平成27年5月1日))。これはポータルサイトでの掲載の例ですが、広告のバナーや着地ページでも、売れた車を載せ続けない手順は同じように要ります。支払総額などの表示の決まりは 中古車広告の支払総額表示 で扱っています。
自社の在庫の入れ替わりで、どこまで社内で回せるかを一緒に見積もりたい場合は、無料相談フォームからご相談ください。
来店の記録は、外注しても店の仕事として残る
広告の成果を来店で判断する以上、来店を数える作業は、自社運用でも外注でも店の仕事です。当社の支援経験では、中古車販売の広告は来店を重視して運用しないと成果につながりません。多くのお客様は問い合わせをせずに来店するため、広告の管理画面だけでは成果の半分しか見えないからです。
外注するとこの作業が見えにくくなります。代理店の報告書にはクリックや問い合わせの件数が並び、来店台帳と突き合わせなければ、広告が来店を生んでいるかは判断できません。自社運用に切り替えても事情は同じで、運用の担当者が台帳を見に行かなければ、問い合わせの件数だけで広告を評価することになります。
来店台帳に「どの車を見に来たか」を書いておくと、ホームページだけに載せていた車か、ポータルにも載せていた車かで経路を分けられます。数え方は 中古車販売店は来店をどう数えるか で詳しく扱っています。来店1組あたりにいくらまで広告費を使えるかは 中古車販売店の広告費はいくらまで使えるか で逆算できます。
初売りの準備期と1月に、兼務の担当者の手は止まる
自社運用の弱点が最も出るのは、1年で最も売れる初売りの時期です。広告の作業が増える時期と、店頭が最も忙しくなる時期が重なります。
- 年末年始は媒体も休みに入るため、広告の審査の期日が早まる。配信素材は12月の初めには作っておく必要がある
- 目玉車の確保は10〜11月。初売り用のバナーや専用ページも、それに合わせて用意する
- 1月は来店が増え、店長や営業が広告の管理画面を開く時間はほぼ無くなる
- 初売りが終わった後に、催しのバナーと価格が配信され続けていないかを止める作業が残る
広告運用を兼務している店では、この時期に「設定はしたが、その後は見ていない」状態になりがちです。自社運用にするなら、少なくとも10月から2月の間だけは制作と入稿を外に出すなど、時期で分ける方法も考えられます。初売りに向けた準備の全体は 車屋のWEB集客で初売りに向けて準備すべきこと にまとめています。
売り方によって、外に出すべき作業の量が変わる
在庫を見に来てもらう売り方か、自社ローンやリースのように買い方で選ばれる売り方かで、自社で持てる範囲が変わります。
| 売り方 | 広告の中心 | 自社運用との相性 |
|---|---|---|
| 在庫販売(地域の在庫を見に来てもらう) | 地域名や業態の言葉の検索広告と、在庫ページへの着地 | 言葉の数が限られ、店の在庫知識が生きる。毎週の時間を取れれば自社でも持ちやすい |
| 自社ローン・低金利・リース | 訴求ごとのLPと、複数の広告文・バナー | LPのファーストビューを訴求ごとに作り分ける制作量が多い。制作は外に出したほうが回る |
| 専門店(輸入車、カスタム車など) | 車種・専門の言葉と、SNSや動画を含む複数の媒体 | 媒体が増えるほど一人では持ちきれない。媒体を分けて任せる方法もある |
自社ローンや低金利で選ばれる店では、審査に不安のある人の問い合わせが多くなります。問い合わせを増やしながら審査に通る人の割合を落とさない設計が要るため、広告とLPを一体で直せる体制のほうが成果につながりやすくなります。
自社で運用してよい店、外に任せたほうがよい店
次の条件に多く当てはまるほうへ寄せます。どちらか一方に決める必要は無く、作業ごとに分けてかまいません。
| 自社運用に向く条件 | 外に任せたほうがよい条件 |
|---|---|
| 数字を見るのが苦にならない担当者が、毎週時間を取れる | 広告を見る人が店長や営業との兼務で、週ごとの時間が読めない |
| 在庫販売で、狙う言葉が地域名と業態の言葉に絞れる | 自社ローン・リースなど、訴求ごとにLPを作り分ける売り方 |
| 媒体がGoogleの検索広告など1〜2つ | 検索に加えてディスプレイ、SNS、動画まで広げる段階 |
| 来店台帳を毎日つけ、広告経由の来店を数えられている | 来店をまだ数えておらず、成果の設定から作る必要がある |
| 初売りの時期だけ外の手を借りる段取りがある | 1〜3月も同じ人数で広告を回す前提になっている |
当社の支援経験では、自社ホームページへの広告は、地域名を含む言葉の検索広告から小さく始める初期なら社内でも回せます。業態や車種の言葉に広げ、リターゲティングなどのディスプレイ広告に着手する段階から、設計と調整の差が成果に出始め、詳しい人か外注が必要になります。
担当者を兼任にするか専任にするかの目安は 車屋にWEB集客担当者は必要か、担当者に何を任せるかは 車屋のWEB集客担当の仕事内容とKPI で扱っています。
外注するなら、店に残す仕事と取り決めを先に決める
外注を選んだ場合も、店に残す仕事と、代理店との受け渡しの手順を契約前に決めておきます。これを決めずに任せると、代理店は在庫の変化に気づけず、店は報告書を受け取るだけになります。
- 売約と入荷、目玉車の入れ替えを、誰が誰にいつ伝えるかを決める
- 来店台帳を店でつけ、月に1回は代理店と突き合わせる
- 2〜3か月に1回は、在庫構成や売り方の変化、仕入れの方向を代理店に共有する
- 広告アカウントは自社の名義にし、少なくとも閲覧できる権限を店が持つ
Google 広告では、読み取り専用の権限でもキャンペーンの表示とレポートの実行ができます(Google 広告ヘルプ「Google 広告アカウントのアクセス権の概要」)。外に任せていても、店が自分で管理画面を開いて確かめられる状態にしておきます。任せた後の点検の手順は 中古車販売店の広告が成果につながらないときの点検箇所、外注先の比べ方は 中古車販売店の広告代理店の選び方 にまとめています。
一度も店に来たことのない代理店に任せているなら、まず一度見に来てもらうことを勧めます。店の強みや選ばれている理由を知らないままでは、広告文やバナーが当たり障りのない訴求にとどまります。
自社運用に切り替えないほうがよい場合
次に当てはまるときは、手数料を減らしたくても、自社運用への切り替えを急がないほうが結果は良くなります。
- 来店を数えていない。自社で運用しても、問い合わせの件数だけで広告を評価することになる
- 担当者が1人だけで、その人が辞めたり異動したりすると誰も管理画面を開けなくなる
- 広告アカウントが代理店の名義で、切り替えると過去の配信の履歴が手元に残らない
- 広告費を下げたいことが本当の目的になっている。広告費の額と運用の担い手は別の問題
- 初売りの準備期や1〜3月に切り替えようとしている。切り替えの手間と繁忙期が重なる
反対に、在庫の連絡と来店台帳がすでに回っていて、毎週の時間を取れる担当者がいる店は、検索広告から自社で持つ選択肢があります。その場合も、アカウントの設計と成果の設定だけは最初に経験のある人と確かめておくと、後から直す手間が省けます。
よくある質問
代理店の手数料を払うより、人を雇ったほうが安くなりますか
広告費の規模によっては安くなりますが、中古車販売店では人件費だけで比べると判断を誤ります。在庫の入れ替わりへの対応、初売りの制作と入稿、担当者が休んだときの代わりまで含めて比べてください。比べ方の一般論は 広告運用は内製化すべきか にあります。
店長が兼務で広告を見ることはできますか
設定と月1回の確認だけなら可能です。ただ、検索語句の確認と除外、売れた車の広告の停止は毎週の作業で、店長の兼務では商談や納車が優先されて止まりがちです。店長が見るのは成果の判断と在庫の連絡にとどめ、毎週の調整は別の人か外に任せる分け方が現実的です。
外注していても、店側で広告の管理画面を見るべきですか
見てください。報告書に載るのは代理店が選んだ数字だけです。閲覧の権限があれば、売れた車の広告が残っていないか、どんな言葉で広告が出ているかを店で確かめられます。
一部だけを外注することはできますか
できます。たとえば検索広告は社内で持ち、バナー・LPの制作と初売りの入稿だけを外に出す、あるいは運用は外に任せて、成果の判断と在庫の連絡を店で持つといった分け方です。分けるときは、どの作業を誰が持つかを冒頭の表のように書き出して決めてください。
まとめ
中古車販売店の広告運用を自社でやるか外注するかは、手数料と人件費の比較だけでは決まりません。作業を、店にしかできない作業、毎週続く作業、経験が効く作業の3つに分けると、在庫の連絡と来店の記録は外注しても店に残ることが分かります。そのうえで、在庫の入れ替わりに合わせた毎週の調整と、初売りの時期の制作を誰が持てるかで、寄せる方向を決めます。
自社の在庫と体制で、どこまで社内で持ちどこを任せるかの切り分けは無料相談フォームからご相談ください。支援内容はサービス紹介資料にまとめています。
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